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徳島大学様

フルOSSのプライベートクラウドを学内情報基盤に導入

  • パフォーマンス・可用性向上
徳島大学

『四国におけるe‐Knowledgeを基盤とした大学間連携による大学教育の共同実施』を見据えた学内情報基盤の整備というプロジェクトのもと、2013年10月より全学展開はもとより四国5大学連携プロジェクトでも機能するプライベートクラウドと、そこでLMSのMoodleを稼働させるシステムの設計/開発がスタートした。 2014年4月、無事、カットオーバーを迎え、LMSをはじめとする業務システムがプライベートクラウドで実稼動された。

導入ソリューション
導入製品

お客様データ

徳島大学
創立:1949年
所在地:徳島県徳島市新蔵町2丁目24番地
学生数:5,994名(2014年4月9日現在)

1874年の徳島師範期成学校の創設に端を発し、1949年に徳島県内の旧制学校6校を母体として誕生した国立大学。「自主と自律の精神に基づき、真理の探究と知の創造に努め、卓越した学術及び文化を継承し、世界に開かれた大学として、豊かで健全な未来社会の実現に貢献する」を理念・目標に掲げ、高度な研究力と温かさを兼ね備えて地域と共生し、「こころざし」を持って学び・感じ・考え・行動できる人材の育成を目指している。現在、総合科学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部の5学部(※大学院は総合科学、医科学、口腔科学、薬学、栄養生命科学、保健科学、先端技術科学の7教育部とソシオ・アーツ・アンド・サイエンス、ヘルス・バイオ・サイエンス、ソシオ・テクノ・サイエンスの3研究部)で展開。

お客さまが実現できたこと

  • CloudStackによるプライベートポータルでLMSのMoodleや講義を収録したストリーミングコンテンツを流すサーバを入れた情報基盤構築・運用を果たせた
  • 災害時においても、24時間365日のサービス継続や貴重な大量データの保護ができるようになった

お客さまのご要望

  • 将来的に他校を含むプラットフォームとして機能できる学内情報基盤に仕上げたい
  • 南海地震など巨大な災害への備えという観点からBCP/DRの強化をしたい

四国の国立大学間連携を視野に学内情報基盤をフルOSS化!

2013年3月、文部科学省の国立大学改革強化推進補助金に採択された『四国5大学連携による知のプラットフォーム形成事業』。これは徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学という四国の国立5大学の資源を効果的・効率的に活用する取り組みとして、AO入試や大学教育 (教養教育と専門教育)、産学連携などを大学の枠を超え、四国全体で実践していく一大プロジェクトである。

2014年5月の段階で、『四国地区国立大学連合アドミッションセンターの設置とAO入試の共同実施』『四国におけるe‐Knowledgeを基盤とした大学間連携による大学教育の共同実施』『四国産学官連携イノベーション共同推進機構』などのテーマが掲げられ、様々な試みが行われている。  そんな中で、特に耳目を集めていたのが徳島大学が進めている『四国におけるe‐Knowledgeを基盤とした大学間連携による大学教育の共同実施』を見据えた学内情報基盤の整備だ。

「他校と連携しながらイノベーティブな取り組みに挑むことはもちろんですが、そのためにも学内情報基盤の刷新では、まだどこもやっていないようなものに取り組みたいと考えていました。それが他校との連携においても貢献できる仕組みづくりの挑戦になると思っていたからです」と語るのは、徳島大学の大学開放実践センター教授であり工学博士でもある金西計英氏だ。同氏が言うように、徳島大学では既にOSS による学内情報基盤の構築を果たすなど、これまでにも新たな分野への取り組みを積極的に行ってきた。

徳島大学<br />
大学開放実践センター教授 工学博士<br />
金西 計英氏

徳島大学
大学開放実践センター教授 工学博士
金西 計英氏

OSSによるプライベートクラウド環境の構築に高まる期待感

実は、徳島大学では2008年より四国の8つの国公私立大学が連携し、ICT活用によるe‐learningでの教育プログラム提供を目的として設立された『e‐Knowledgeコンソーシアム四国』にも参加。OSSのLMSでは豊富な運用実績を誇るMoodle活用による履修環境を早い段階から整備を図っていた。

今回の四国5大学連携プロジェクトは、まさにこうしたこれまでの取り組みをさらに推進するものといえる。それだけに、将来的に他校を含むプラットフォームとして機能し得る、そんな学内情報基盤に仕上げることが、今回の徳島大学のテーマだった。

徳島大学では、もともとプライベート、パブリック、オンプレミスを組み合わせたハイブリッドなクラウド環境に学内のシステムを統合して運用管理する高度な環境を、2012年より稼動させている。そのこともあり、そこで培った経験知やノウハウから、よりプライベートクラウド領域を拡大していこうという機運は高まっていたという。

「フルOSS での構築は、コスト面でのアドバンテージもさることながら、メーカーやベンダーに依存しないことから 、ブラックボックス化しないで済むメリッ
トがあります。また、地理的に南海地震など巨大な災害への備えという観点からBCP / DR の強化が必須です。それだけにキャンパス外に設けた自学のデータセンターのプライベートクラウド環境なら、高セキュリティと可用性・耐障害性を担保しながら、万一の災害発生時でも24 時間365 日のサービス
継続や貴重な大量データの保護ができる点が大きなメリットです」(金西氏)

CloudStackにXenやMoodleなどを組み合わせた妙手で開発に挑む

キヤノンITソリューションズが用意した提案は、プライベートクラウド基盤ソフトに“CloudStack”を採用し、仮想化計算資源構成システムに“Xen”を、大学連携e-learningシステムに“Moodle”を、教材作成/配信に“Mediasite”という、セルフポータル型のプライベートクラウド環境だ。また、遠隔講義多地点接続システムも備えている。

キヤノンITソリューションズが用意した提案は、プライベートクラウド基盤ソフトに“CloudStack”を採用し、仮想化計算資源構成システムに“Xen”を、大学連携e-learningシステムに“Moodle”を、教材作成/配信に“Mediasite”という、セルフポータル型のプライベートクラウド環境だ。また、遠隔講義多地点接続システムも備えている。

CloudStackダッシュボード(1)

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CloudStackダッシュボード(1) システムアラート及びシステムの処理能力を管理

「フルOSSでの情報基盤構築は初の経験。Moodleに関しては活用実績があるので心配はありませんでしたが、その最新バージョンを導入した上でCloudStackでプライベートクラウドを立ち上げることに関しては、やはり初期の段階では一抹の不安は拭いきれませんでした。しかし、3万人超のユーザーを抱える明治大学、東京理科大学でのMoodle導入・運用実績はじめ、私たちの環境と同等の試験環境を事前に用意してCloudStackによる情報基盤構築・運用の検証をしっかりこなしてくれたり、親和性の高さからXenを推してくれたり、導入されているSSO認証のOSS・Shibbolethとの連携もとってくれたりなど、こちらの不安を払拭する提案が随所にありました」(金西氏)

CloudStackダッシュボード(2)

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CloudStackダッシュボード(2) システム全体の処理能力の詳細を管理

LMS(Moodle)のコース参照画面

LMS(Moodle)のコース参照画面        授業コンテンツの参照、資料ダウンロード・アップロード等が可能

本格的な四国5大学間連携や学内情報サービス提供に向けて

そして、2014年4月、無事、カットオーバーを迎え、LMSをはじめとする業務システムがプライベートクラウドで実稼動される。

「新システムへ切り替える際、モニター上でクラウドがライブマイグレーションされてるのを目にした時は、ちょっと鳥肌モノでしたね。ちゃんと走ってるぞって(笑)。正直、OSSは商用版とは違って機能や動きを担保してくれる存在はどこにもいません。すべてがオープンだからオウンリスクでやっていくのが基本スタンスです。だからこそ、OSSに強いという定評のキヤノンITソリューションズの手腕に頼ったところは多々ありますね」(金西氏)

CloudStackやXen、Moodleなどが収められたサーバ

CloudStackやXen、Moodleなどが収められたサーバ

「CloudStackによるプライベートポータルでLMSのMoodleや講義を収録したストリーミングコンテンツを流すサーバを入れた情報基盤構築・運用を果たせたことは、OSS活用の大きな自信につながりました」(金西氏)

「今後はこのプライベートクラウドに他の大学様のプライベートクラウドと連携させるインタークラウド化を視野に、四国5大学連携プロジェクトでも機能させていきたいと考えています。大学間連携による授業実施に関しても、数千人規模に耐え得る可用性がありますので、ぜひ実現させたいですね」(金西氏)

目指すは、四国5大学連携による知のプラットフォーム形成。この徳島大学の挑戦を、キヤノンITソリューションズはこれからも支援し続けていく。それだけでなく、自学の学生に向けた情報サービスの拡充に臨む領域に関しても、惜しみなくアドバイスを提供していく構えだ。

「LMSのMoodle環境は満足いく仕上がりで、学生や教職員からも好評です。今後はe-portfolioの充実を早急に図り、学生を真ん中にLMSとe-portfolioで挟み込むサンドイッチ体制を確立して、より使える情報基盤のもと情報サービスの充実を図っていきたいですね」と金西氏の目も、既に次のステップに向いている。

OSS とは・・・Open Source Software の略。インターネットなどを通じてソースコードを無償公開し、誰でも改良や再配布が行えるソフトウェアのこと。
LMS とは・・・Learning Management System(学習管理システム)の略。教師による教材の保管・蓄積、学習者への教材の適切な配信、学習者の学習履歴や小テスト・試験問題の成績などを統合的に管理するシステムのこと。Moodle は、オープンソースソフトウェアで、GNU General Public License に基づいて自由に配布され使用することができる代表的なLMS のひとつ。
e-Portfolioとは・・・レポート、作品、実習の記録等を学習の成果として、サーバー上に記録・蓄積することのできるシステムのこと。

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