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東京工業大学様

MacによるNetBootシステムからLocalBootシステムへ大幅に刷新。OSのイメージ配信時間は通常の1/6に短縮。ネットワーク越しのリニア編集も快適に!

  • 事務生産性向上
  • パフォーマンス・可用性向上
東京工業大学

2009年のリニューアル時は、Mac によるNetBootシステムが採用され、理学部で約100台、工学部で約80台のMac端末が導入され、Mac環境の効率的な運用・管理体制を構築していた。
今回、Total Manager for Mac 2によるMacOSベースの学生演習システムを導入したことにより、問題となっていた処理時間が大幅に短縮され、操作環境が劇的に改善した。

導入ソリューション
導入製品

お客様データ

東京工業大学
創立:1881年
所在地:東京都目黒区大岡山2-12-1
学生数:4803名(2012年5月1日現在)

1881年設置の東京職工学校から蔵前での東京高等工業学校を経て、1929年に大学へ昇格。一世紀を超す歴史を有する日本最大の理工系大学。ノーベル賞受賞者の白川英樹博士をはじめ数多くの優れた人財を輩出するなど、確かな基礎力を修得した「創造型人間」を育み続け、常に時代の最先端を切り拓く"頼りになる大学"の役割を果たす。創立150周年を迎えようとする2030年までに「世界のトップ10に入るリサーチユニバーシティ」を目指し、科学技術の分野で世界を舞台に活躍する人材輩出により注力する。

お客さまが実現できたこと

  • 処理時間の短縮により、操作環境が劇的に改善した。
  • ハードウェアへの投資や消費電力を抑えながら性能アップを果たせた

お客さまのご要望

  • データ処理速度をあげたい
  • MacOSのアップデートへの対応で古くなったアプリケーションのバージョンアップをしたい
  • セキュリティ対策などのランニングコスト低減したい

日本最大級の理工系大学ならではの悩み

2005年より理学部と工学部の2教室においてMacによるNetBootシステムを学生演習用システムとして導入していた東京工業大学。国内屈指の理系の学び舎として繰り広げられるハイレベルな授業演習や課題作成に欠かせない環境として、前回2009年のリニューアル時もMac によるNetBootシステムが採用され、理学部で約100台、工学部で約80台のMac端末が導入されていた。

このMac環境の効率的な運用・管理体制は、キヤノンITソリューションズが独自開発したMacクライアント統合ソリューション"Total Manager for Mac"が担う役割が大きい。"Total Manager for Mac"は、利用者が端末を立ち上げるたびにサーバからOSイメージを読み込むシンクライアント方式に対応した統一環境運用ツールで、NetBootはもちろん電源や故障端末までを一元管理できるなど、大規模なMac環境の構築には最適なツールだ。

「過去2度のシステム更新時にも、その時の最先端のMac環境で学部内の情報基盤を整備していきました。特に2009年時はCPUがIntel化され、UNIXベースのMacOS X上でWindowsが走る「Parallels Desktop for Mac」の作業環境も手に入れ、学生からの評判も良かったです」と語るのは東京工業大学大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 准教授の渡部卓雄氏。

ただ、日進月歩のこの世界では、時間の経過とともに課題が生まれるのも必然だ。

「毎年ブラッシュアップされる授業演習の内容に環境が追いつかなくなっていくんですね。たとえば仮想環境でOSを立ち上げカーネルをいじったりする授業では、100台近くの端末から一斉に作業するため、どうしても処理速度が遅くなるなど、サーバへの負担が高くなっていました」(渡部氏)

東京工業大学 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 准教授 渡部卓雄氏

東京工業大学 大学院情報理工学研究科
計算工学専攻 准教授
渡部卓雄氏

まさに日本最大級の理工系大学ならではの課題といえるだろう。

また、「2010年にMac端末のブートサーバとして使っていたXserveの新製品がリリースされないというアナウンスがあり、それに代わるサーバシステムの構成を考えていく必要もありました」と東京工業大学大学院情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 准教授の脇田 建氏も続ける。

一方、MacOSのアップデートへの対応で古くなったアプリケーションのバージョンアップやセキュリティ対策などのランニングコスト低減を図ることも、運用側では大きなテーマとして挙がっていたという。

「今回の刷新では、何よりもまず学生の履修環境ありきという視点が大前提。動画の投稿/閲覧などを日常的に楽しんでいる今の学生たちに、ワクワクした感覚で授業に臨んでもらえるような環境を、長期に渡って維持できるような環境・体制を目標に取り組みました」(脇田氏)

東京工業大学 大学院情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 准教授 脇田 建氏

東京工業大学 大学院情報理工学研究科
数理・計算科学専攻 准教授
脇田 建氏

LocalBootでもNetBoot同様に管理できる技術力を評価

そして、2013年4月のカットオーバーを目標に同校が臨んだ、理学部と工学部の学生演習用システムのリプレイス。

「UNIX環境はマストでしたので、基本はMacベースの現行体制のボトムアップを図る方向で取り組みました」(脇田氏)

そんな中で今回の最大のポイントは、これまでのNetBootシステムではなく、LocalBootシステムを採用したことだ。

「これまでのNetBootシステムによる2度の刷新を教訓に、今回はプロポーザル方式で仕様のRFPを開示する際、次の契約満了時までストレスなく使い続けられることを含めました。その結果、最終的にLocalBootの方向で新システムの構築を手がけることになったのです」(渡部氏)

とはいえ、2005年より運用してきたNetBootシステムによるOSイメージの一括配信といった一元管理運用体制の使い勝手の良さやシステムの安定性は、簡単には手放せない魅力だった。

「そこでNetBootかLocalBoot、いずれか最適なシステムを実装してほしいという含みはRFPに残しておきました。狙いとしては、どちらもできますよという技術力のあるベンダーを評価したかったという点がありましたね」(脇田氏)

こうした同校の要件がオープンにされ、競争入札が実施された結果、2005年からMacによるNetBootシステムを学生演習用システムとして開発/導入してきたキヤノンITソリューションズが、引き続き担当することになった。

「LocalBootシステムであっても、Net Bootシステムと変わらない簡便な使い勝手で集中管理できることは、私たちの大きな要望のひとつでした」(渡部氏)

ブートサーバであるMac mini serverとスイッチ間は高速のネットワークで結ばれ、大幅に処理速度が向上

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ブートサーバであるMac mini serverとスイッチ間は高速のネットワークで結ばれ、大幅に処理速度が向上

この同校のリクエストに応えたのが、以前の導入時より格段に機能強化された"Total Manager for Mac 2"だ。たとえば、何らかのトラブルが発生した場合でも、従来のNeBoot時のように固定したOSイメージの一括配信ができ、ジョブレポートの自動処理、一斉電源管理などの機能もLocalBoot環境で実現できるように機能強化されている。Windows環境もOSSの VirtualBoxを採用して対応した。

「正直、自分たちの要望が果たしてどこまで実装できるのか不安があったのですが、LocalBootへの変更後もNetBoot のような集中管理体制を実現できたのはうれしかったですね」(渡部氏)

「Mac環境を熟知した技術ノウハウによる最適解の提示には、本当に助けられました」(脇田氏)

処理時間が6分の1になるなど、操作環境が劇的に改善!

刷新された同校の新たな学生演習用システムでは、大幅な環境改善も実現した。まず、旧学生演習用システムで一番の課題であったサーバの処理速度低下に関しては、"Total Manager for Mac 2"より、目を見張る改善効果があがった。

「OSのイメージ配信が、6分の1の時間で済むようになりビックリしました。さらに、ネットワーク越しにAdobe社のPremiereでリニア編集作業を40台同時に行ったのですが、問題なく稼働できることにも驚かされましたね」(脇田氏)

この操作性の向上は、ファイルサーバやネットワークインフラを高速化したことや、教室に設置した最新のiMacのスペック向上などとの相乗効果もある。

また、ハードウェアへの投資や消費電力を抑えながら性能アップを果たすなど、全体的なボトムアップも行われた。

「私たちはITに関する最先端の理論や技術を学生と一緒になって追求してはいますが、それでもまだまだ知識不足な面があるのは事実です。そうした部分をサポートしてもらえたという意味でもベストなソリューションでした」(渡部氏)

まだ見ぬシステム活用をイメージしながら現システムを育む

今回刷新された学生演習用システムは、2013年の4月より本格稼働している。

「秋季からの授業では、自分が教材用に制作した動画を流すなどして、よりわかりやすく、かつ興味喚起できる授業に挑戦してみたいですね」(渡部氏)

「以前からクラウドとの連携を考えていましたが、Macによる快適な環境を手にすることができたので、ファイル共有にドロップボックス、情報共有にエバーノート、ソースコードや教材の共有にGitHubなど、多彩なツールやコミュニティを活用していこうと考えています」(脇田氏)

このように同校では、授業演習での有効活用をはじめ、真価を発揮させるさまざまな試みが行われようとしている。その一方で、一歩も二歩も先を見渡す視点で、新たなチャレンジにも余念がない。

「昨今の開発環境を鑑み、大きな画面で高性能なデスクトップという選択は、今の段階ではベストですが、ひとつの専用の演習室に学生を集めて授業するスタイルが、果たして今後、いつまで通用するのか、実は疑問を感じています。スマートフォンやタブレット端末の普及も含め、計算機(コンピュータ)と私たちとの関係が劇的に変化する。その先頭に立っていくためにも、これからの授業の在り方を模索し続けていかねばなりません」(渡部氏)

「前回の刷新時期が、ちょうどノートPCやタブレットへの移行期と重なり、今回はスマートフォン全盛期と重なりました。次の刷新時期には、もしかしたらパソコンが死語になっている、それほどドラスティックに変革しているかもしれません。その先頭に立つような人材を輩出していくのが、私たちの使命。そういったことを意識しながら、学内の履修環境整備にも臨んでいきたいですね」(脇田氏)

まさに同校の挑戦には、今後もゴールはない。MacのNetBootシステム環境からLocalBootシステム環境へ大きく舵を切った今回の刷新のように、節目節目でキヤノンITソリューションズも、同校のイノベーティブなチャレンジをサポートし続けていくことになるだろう。
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導入いただいたソリューション・製品

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